s-マックス・シャーザー



【Wikipedia】
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%BC

【成績】
http://www.fangraphs.com/statss.aspx?playerid=3137&position=P
http://www.baseball-reference.com/players/s/scherma01.shtml

【投球分析】
http://www.brooksbaseball.net/landing.php?player=453286

【PITCHf/xとは】
https://ja.wikipedia.org/wiki/PITCHf/x

去年に引き続き、今季もサイ・ヤング賞を獲得して通算3回目の受賞となった。
3回以上のサイ・ヤング賞を受賞した投手は歴代9人しかおらず、シャーザーが10人目となった。

しかし、今季はとことん勝ち運に見放されたシーズンでもあった。
リリーフが何度もシャーザーの勝ち星を消してしまい、ひどいときなど6点差を追いつかれてシャーザーの勝ち星が消えたこともあった。
そして31回の先発でチームが1点以下の試合が4試合、2点以下が7試合、3点以下が9試合と打線の援護がない試合も多かった。
そんな中WAR7.5を挙げ、エースとしてナショナルズを引っ張った功績は大きかった。
シャーザーの今季の投球を振り返ってみよう。


20171112-07

【平均球速】
今季、シャーザーは万全のコンディションではなく、DL入りしたこともあった。
DLから復帰後は球速が大幅に低下していた。
しかし、そんな中でもそれなりの投球ができていたことがシャーザーの素晴らしさだろう。
今後、加齢から球速が低下していく可能性が高いけど、シャーザーは球速が落ちても好成績を維持できると予感させるものがあった。

そんなこともあって、2017年の4シームの平均球速は94.40マイルと2016年から0.83マイルも落ちてしまった。
しかし、NLDSのときは球速が戻っていたので、2018年は2016年並みの球速に戻る可能性が高い。
シャーザーのチェンジアップの平均球速は84.97マイル、カーブが77.69マイルとストラスバーグのチェンジアップやカーブと比べると球速は抑え気味なのが特徴だ。


20171112-08

【最速】
上記のような事情もあって、2017年の4シームの最速は98.49マイルとデビュー以来最低を記録した。
とはいえ、4シームの最速が101.22マイル、平均が99.62マイルと先発最速の投手であるメッツのシンダーガード以上の4シームだといっても過言ではない。
シャーザーの4シームは回転数が多いために球速以上の威力があるからだ。

そして、シャーザーは普段は球速を抑え気味に投げておいて、勝負所で球速を上げてくる。
試合の序盤から90マイル後半の4シームで飛ばし続けると打者の目も慣れてくるし、終盤でスタミナが切れて球速が落ち、痛打を食らうことが多くなる。
しかし、シャーザーは勝負所だけ球速を上げるので打者が対応しにくくなり、かつ終盤でもスタミナが残っているのだ。
4シームの空振り率がメッツのシンダーガードよりも高いのはこういう理由があるからだ。


20171112-09

【配球】
4シーム 48.73%
チェンジアップ 13.94%
スライダー 24.60%
カーブ 8.17%
カッター 4.57%

4シームは平均球速が95.23マイル、横の変化-6.37インチ、縦の変化8.39インチだ。
ストラスバーグの4シームに比べると横の変化が大きく、縦の変化が小さい。

チェンジアップは平均球速が84.97マイル、横の変化-8.34インチ、縦の変化1.12インチと大きく沈む変化球だ。
スライダーも平均球速が86.07マイル、横の変化1.66インチ、縦の変化1.16インチと大きく沈む変化球になっている。
2017年は故障の影響で球速が落ちていたので、4シームの割合が55.40%から48.73%に減り、代わりにスライダーが19.79%から24.60%に増えていた。


20171112-10

【球種】
伝家の宝刀のスライダーは、空振り率27.15%という魔球だ。
それでいてボールになる確率も26.26%と非常に低い。
バットを振っても当たらないし、見逃してもストライクという究極の変化球になっている。

4シームも球速に変化を付けるために打ちにくく、12.53%と先発投手としては極めて高い空振り率になっている。
あのシンダーガードの4シームですら10.00%、シンカーが5.24%なのだから、シャーザーの4シームがいかに優れているかわかるだろう。


20171112-11

【対左打者・対右打者】
左打者に.213、右打者に.136と右打者に圧倒的に強い。
いうまでもなくスライダーのおかげだろう。


20171112-12

【ピンチにおける強さ】
走者なしなら被打率.185、走者ありなら被打率.160、そして得点圏に走者ありでは被打率.202だ。
どの場面でも被打率は変わらない。


今季、故障でDL入りする前の8月13日の時点では12勝5敗、220三振、防御率2.25と20勝、300奪三振、防御率1点台も狙える勢いだった。
DL明けはやや調子を落としたものの、サイ・ヤング賞を獲得できたのは見事だった。
来季は、20勝、300奪三振、防御率1点台を達成して4回目のサイ・ヤング賞を獲得し、カーショウを超えるメジャーリーグ最高の投手になってもらいたいと思う。
そして、ポストシーズンでも素晴らしい投球をして、ナショナルズを世界一に導いて欲しい。
頑張れ、シャーザー!!