タナー・ロアーク



【Wikipedia】
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%AF

【成績】
http://www.fangraphs.com/statss.aspx?playerid=8753&position=P
http://www.baseball-reference.com/players/r/roarkta01.shtml

【投球分析】
http://www.brooksbaseball.net/landing.php?player=543699

【PITCHf/xとは】
https://ja.wikipedia.org/wiki/PITCHf/x

タナー・ロアークは、イリノイ大学在学中はドラフトにかからず、独立リーグでプレーして、メジャーリーグへの夢を追った。
2008年にMLBドラフト25巡目(全体753位)でレンジャースに指名されて入団。
2010年7月にナショナルズにトレードされた。
2014年のオープン戦ではロス・デトワイラーとローテーションの5番手を争い、これに勝って15勝10敗、防御率2.85と素晴らしい成績を挙げた。

ところが、2015年オフにマックス・シャーザーが移籍してきた。
この後、ジョーダン・ジマーマンがトレードされると思われたが、トレードは行われず、ロアークが中継ぎになるという不可解なチーム編成になった。
この結果、不慣れな中継ぎと故障者で穴が開いたときのスポット的な先発をさせられるなどたらい回しにされて、リズムを崩してしまった。

しかし、独立リーグまで行って、メジャーリーグへの夢を追った男はこれしきではくじけなかった。
逆境をバネにして、2016年はローテーション投手の座を奪い返し、16勝10敗、防御率2.83というキャリアハイの成績を残したのだ。


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【平均球速】
2015年は中継ぎが主体だったので、先発ローテーションに入った2016年はペース配分のために4シームの平均球速も落ちている。
とはいえ、先発で15勝を挙げた2014年から比べると大幅に球速は上がっている。


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【最速】
4シームの今季最速は96.18マイルだった。
シンカーの最速は96.58マイルだ。
2014年と比べると平均球速と共に最速も1マイル以上上がっている。


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【配球】
4シーム 17.38%
シンカー 44.79%
チェンジアップ 10.07%
スライダー 14.86%
カーブ 12.70%
カッター 0.17%

球速の上昇と共に4シーム、シンカーの速球系の割合が増え、62.17%に達している。
今季、1試合15奪三振のキャリアハイを達成したように奪三振が飛躍的に増えて、奪三振率も7.37となった。
いうまでもなく、無死あるいは一死三塁の場合、外野フライや内野ゴロを打たれると失点する可能性が高いので、三振を奪える投手が有利だ。
ロアークがエース級の成績を残せたのは奪三振率の上昇とは無縁ではない。

変化球は全般的に曲がりが小さい。
これはコマンドのしやすさを考えてのことだろう。


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【球種】
4シームの空振り率7.76%、シンカーの空振り率5.70%は平凡だが、チェンジアップの15.10%、スライダーの16.41%、カーブの12.19%と変化球はいずれもクオリティーが高い。
変化球投手でありながら速球系の割合が多く、速球系で追い込んで変化球で仕留めるのはクリフ・リーと同じパターンだ。


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【対左打者・対右打者】
対左打者が.213と低いのがわかる。
左打者用のチェンジアップが効果がある証拠だろう。
対右打者も.236と高くはなく、全般的に被打率は低い。

ただ、2016年は球速の上昇と共に2014年は1.77だった与四球率が3.13まで上昇していた。
この点を改善すれば、サイ・ヤング賞争いに加わる可能性もある。


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【ピンチにおける強さ】
走者なしでは.224、走者ありで.221、得点圏に走者ありで.258と得点圏で走者がある場合には若干被打率が高くなっている。


私は2014年の成績は出来過ぎではないかと思っていたが、球速と奪三振率を上げて、真の好投手の仲間入りを果たした。
メジャーリーグ最高のローテーションであるナショナルズでもマックス・シャーザーに次ぐ2番手の投手になった。
ぜひ、WBCでも活躍して、日本のファンにも認知されて欲しいところだ。
独立リーグからメジャーリーグ屈指の好投手にのし上がったサクセス・ストーリーは日本のファンにも感動を与えるだろう。